角川文庫 7月刊 古処誠二 線

「生木で作った墓標」という短編、読んでる最中には朝鮮人軍属の逸話ということに気付かずにいた。また読後に「戦死しなかった人夫隊の人々はどうなったのか」その他いろんな疑問や不安が浮かびとても気になる。
いまWEB上でいろいろ朝鮮人軍属に関する記述を捜したけれど、きちんとしたページをみつけられなかった─ある時代以前の情報は探しにくいのです、ウィキペディア朝鮮人日本兵」というページ中に“軍人軍属の内訳”という表があり、軍人軍属動員が朝鮮人全体で24万人余、うち不明または戦没2万2千人と記してある。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E4%BA%BA%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%85%B5

ま、ミリオタってほどではないが一般市民よりは軍事関連の知識があるかなって自認していた石丸でしたが軍属関連で理解していることがあまりに少ないことに愕然かな。WEB上のどこかによい資料はないものかなあ。
えと、ホームページ『硫黄島探訪目次』より『9.硫黄島戦資料他』のURLが以下ですね。

http://www.iwojima.jp/data.html

そちらから『海軍204設営隊と朝鮮人軍属について』中に軍属関連の諸々が。あっこちらの朝鮮人軍属の記述は通説での所属数が間違っているという解釈についてのみの記述です。基礎知識という部分で『設営隊の構成』『軍属の待遇と地位』ほかいくつか知りたいことへの答えをみつけたけれど、まあでもいまのところ全体像がわかったわけではない。
古処誠二「線」で自動車隊・輓馬隊など輜重部隊や朝鮮人軍属の人夫隊など、いままでほとんど知らなかった戦史などを垣間見た─数多くの個人史からネタを見つけ醸造してゆく作業ぶりに感服はしたけれどでも何だな「メフェナーボウンのつどう道」であれだけの長さでも従軍看護婦の概要やら俸給やらを読者に教えてくれなかったし、こちらでもわたしにいろいろ“知りたい”渇望に火をつけていただきWEB上を渡り歩いたりでそれを含めればよい読書体験だったが、もうひとつ戦争文学としての基本ができてないんじゃないかと、こういうあたりは古処文学のいつもの感想でしたでいいんだろうか。