創元ライブラリー3月刊 桜庭一樹 お好みの本、入荷しました 桜庭一樹読書日記

このへんWEB上でときどきみてましたっけ。入籍のお知らせなど憶えています。

祖母。母。わたし。の、あまりにも個人的な、血と文芸をめぐる地下冒険譚の、たぶんハッピーエンドの幕がゆっくりと下りてきて、気づけば、生まれる前から始まっていたごちゃごちゃした大衆演劇が終わり、、何時間も座って舞台を見上げていた観客(でも全員きっとわたしと同じ顔をしている)も、いつも通りの気難しげな横顔を見せて立ち上がろうとしている。という気がしてくる。
あー、終わった。
今度こそ終わった。
もう“母の息子”じゃないし“俺”じゃないし、気づけばこの一年で髪も伸びていつのまにかロングヘアで、見た目もまるで女みたいだ。
 2009年1月
名字が変わったことで、久方ぶりに呼吸が楽になった気がしている。断ち切った。過去の血の物語が山を越えてこの大都会まで追ってきたとしても、もう、名前がちがうからわたしをうまくみつけられないだろう。それに、夫がいるから、大丈夫…。門の前にユラユラ立ち、過去の物語からわたしを守ってくれる。
未来の物語を、探すのだ。
 2009年2月

などとまじめなのか本気なのか記していて、そうかこのあたりから彼女の作風変わったんだか、まあ実を言うとわたしとしては「製鉄天使」でちょっと引いちゃったままなのでそのへんの境目をじつはよく理解できてません。
短編アンソロジーをこよなく愛すみたいな読書遍歴はでも、ブックレビューとしてはとても貴重かもしれないな。そのへんあまり紹介してくれる人がいないし…いやだからってわざわざ読む気になるかというとこまっちゃうんだけど。