講談社文庫 11年12月刊 畠中恵 アイスクリン強し

アイスクリン強し (講談社文庫)

アイスクリン強し (講談社文庫)

しゃばけ」の畠中恵をはじめて読みました。うーむ、寂しい、なんでしょこの寂寥感は。北森鴻の「なぜ絵版師に頼まなかったのか」も読んで暗澹だったし…えと最近の書下ろし時代物はひどい最悪、なぜ近代に設定を移さないのかと思っていた口にしていたけど、なんだか明治に設定してみてもドラマがわくわく面白くならないんだなあ。近代が入る─美味しい洋菓子屋を目指す─商売繁盛とかその他もうビルドゥングスロマンとして成功間違いなしにならないかな…「洋食や」「たいめいけんよもやま噺」の 茂出木心護なんて、ふつうに昔ばなししていてあんなに心躍るのに、どうしてこちらこんなにさびしい読後感なんだろ。たとえば書き下ろし時代作家とかって岡本綺堂くらい読んでないのかなという疑問。いま調べたら半七捕物帳のすべて青空文庫にありました。なんだよ無料で読めるんだぜ、第一話は旧仮名版のおまけつきだ。

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明治を語るには、明治の雰囲気の文体がもちろん必要で、江戸を語るにも昭和を語るにもそれは同じでしょ。仮名垣魯文樋口一葉の模倣しろというんじゃない、漱石岡本綺堂に親しめば、近代文学っぽさを羽織ってみせるくらいの芸はあっていい。谷口ジロー「『坊っちゃん』の時代」でできてる時代の空気を感じることが文章でほんの少しもできないなんて、ほんとうに残念。…ってことはこの人の「しゃばけ」関連も読まずに正解なのかな。