文藝春秋新刊にもう一枚、チラシが挟まっている

宮部みゆき「楽園」上・下2巻はわたしの行った数軒の書店でも堂々と平積みされておりました。
主人公は前畑滋子だそうで、「模倣犯」の読者だとその名でホォーと唸るらしい。チラシの裏面には「模倣犯」執筆時に見た夢とその夢が具現化して「楽園」の骨子となっていったといういきさつが短い文章で簡潔に書かれています。その独白に飾りがないのならこれはモーツァルトの書簡の一つみたいで、作話の秘密が不埒にもナイーブに明かされてるということみたいで興味でてきちゃいますね─このリーフレットの文章、どこかに転載されるのかなあ。
とはいえ、わたしは読みません。「模倣犯」も「理由」も実はわたしは読んでません。「火車」でひどく呆れ「蒲生邸事件」は中途で放り出し、自分の中で決別宣言出しました。ああでもそれからもう10年以上経ってるんだな。ワンちゃんが主人公の処女作(初刊行作品)「パーフェクト・ブルー」の当時から、ドラマツルギーや小説作法を無視し、読者があと一歩踏み込むタイミングを逃さず外すよからぬ意味での名人であった作者で、それを承知で読んであげるのも疲れたって本気で思ったのが上記2冊でした。