文藝春秋の新刊 2019 7 夕刻のローザンヌ©大高郁子

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夕刻のローザンヌ

下部の暗い部分に建物、そこから人々が立ち並ぶ後ろ姿、その先のちょっと寂しいイルミネーションのメリーゴーラウンドに向かうのだろう。夕景だろう木々の間から薄明るい空が垣間見え遠くは湖だったりアルプスだったり(想像で言ってる)。まあ知らんよねローザンヌといえば寂れた遊園地ってわけでもないだろうし。

写生なんだろきちんとその場でああ夕日が雲を明るく染めてると感じながらスケッチしたんだろ、木々の枝たちの野放図なうやむやさも含め、作者の視線を直接受け入れることができる。

イラストレーター大高郁子はこういう絵を書かぬよう意図しているのだろうと推測していた。奔放でうやむやで移ろいやすい自然そのものをイラストレーターの矜持と膂力でシンプルな単色に絞り込み落ち着かせ定着さす人と思い込んでいた。だから今月書店で新刊本を開き見たときけっこうショックでしたね。まあわたしも歳をとるんだ、イラストレーターも年月を重ね新境地とか画風の変遷とかあって当然。20数年リアルタイムで(新刊案内でだけの邂逅だけれど)眺めてきていて、いくつか構想のジャンプだったり沈思だったりを感じてもきた。今後、なだらかに絵のタッチが変化してゆくのか楽しみな今月の一葉でした。

購入したのは川上未映子「夏物語」帯裏には“圧倒的感動の超大作”と記してあり、じつはそういうのが超苦手なわたしなんですよね。リーフレット裏面には瀬尾まいこの「そしてバトンは渡された」本屋大賞!とPRされていてこちらも買ったんだが未読で詰んだままバトン…の帯にも「著者会心の感動作」とあり、感動できない病気なんだかわたしは。