「暗躍領域」購入

大沢在昌新宿鮫シリーズXI「暗躍領域」です。帯ではこうなってるぞ「信頼する上司・桃井が死に、恋人・晶と別れた新宿署生活安全課の刑事・鮫島は、孤独の中、捜査に没入していた…」となると、まあ違う物語になるんでしょうか。奥泉光クワコーシリーズは10年近いブランクで新刊が出たけど、赴任した一年めの夏休み明けからの流れになっていて、まあ事態はいろいろ動いたろうがそれも作家の膂力ではある。

新宿鮫の第一話が1990年、大沢在昌はもうベストセラー作家だったがおれは何読んでたかな?「夏からの長い旅」が最初の出会いでまあいい作家と分かりましたが、わりとその後の作品ではこちらの琴線に触れず…っつうかもう日本ミステリの最良の時代で逢坂剛や原尞や高村薫志水辰夫やその他を追っかけるのに夢中で、いやあミステリだけじゃなく文学全体盛り上がってたなあの頃。

でもって新宿鮫、楽しかったですよ新しい警察小説ってのがバリバリ伝わるし上司桃井も犯人ぶっ殺すし警官は威圧しながら敬語使ってカッパブックス久々の痛快が嬉しかった。でもそのうち徐々に話が大きくイランマフィアとの対決なんぞは食傷で、きっと作者も大風呂敷に辟易で店じまいかと勝手に思っていて、そこからだから「絆回廊」から8年ぶりの新作なわけだ。どうでもいいけど鮫島がお爺ちゃんになって警官となり功を遂げた娘にすり寄るなんて作品もあったっけ。

鮫島インスパイアではないけれど、まあねこれから3晩くらい眠るに眠れぬ苛立ちの夜をわたしにぶつけてほしいです。

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暗躍領域