文藝春秋の新刊 2015年 ©大高郁子


1月 梅と猫
2月 煎り黒豆
3月 チェコの消しゴム


4月 Basil olive oil
5月 初夏
6月 トンプソンシードレス


7月 ミニトマト
8月 鳩の箸置き
9月 ロールメジャー


10月 ガリマールのウィンドウ
11月 BLUE BOTTLE COFFEE3
12月 猫との暮らし

素敵な批評に出会うと、絵画の出来栄えを越えて文章に酔ってしまったりもし、現実の絵画なんてただのサインくらいに見えたりする。

風景画家としての、セザンヌのモチフは、前に述べた様に、ちりぢりになって消えて行くものは決して追わぬ、というところにあった。人間の生は、何んという混乱した、不安定な、消えやすい動きの中にあるか。これに捕えられて、人々が見失っている言わば生存の深い理由に出会う事、それが恐らく、セザンヌ肖像画のモチフであった。
小林秀雄「近代絵画」より

誰かの絵を迷わず好きだという、まあ幸福感かな、そういう気分で大高先生のイラストを紹介しているのだけれどでもやっぱり画家がそのとき見捨てたものというのか、見なかったことにしたものをちょっとでも感じるとそれはわたしの本質的な不安ときっと直結していて、芸術の普遍さなどとは感じないが、でもやっぱりイデアなんだか象徴みたいなものがあるような気がする。
不思議な縁で、こうして大高先生のイラストを編年体で紹介しているのだけれど、そのことの中にわたしが(主体性を持って)見失っているものがあるのだと感じ、非常に不機嫌になったりもする。


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