ご出産! まるごと体験コミック 1

ご出産! (ゴマ文庫 まるごと体験コミック 1)

ご出産! (ゴマ文庫 まるごと体験コミック 1)

いやはやお勉強にはなりましたわ。むかし伊丹十三のインタビュー集中、生理座談会・出産対談を読みました。啓蒙という意味ではいい読書体験だったけれどね。こちらも漫画家が自分の体験をリアリズムで描いた作品だもの、痛みや苦しみなどは強く伝わりました。もちろんあけすけで下品で、そこがいいのかなんてね。
こちらベネッセの育児関連雑誌に載った漫画を主として集めたアンソロジーだが、13人の漫画家、まったく知らないわたしっていうのもそうとうずれているのかな。まついなつきって、何冊か文庫など出してる人かと思うが、まったくの未知でした。けっこう自然主義入っているというか、こちらもそうとう下品というか赤裸々というか、読んでて両肩が重くなってきた。

─(前略)─
ナンシーそれが出産マジックなんだね。本能みたいに言われることでありながら、やっぱり一世一代の大事業という…。「私の出産」は特別なんだよ。
町山  こういう話をしていると「子供を産んだことないくせに」って批判する人が必ずいるけど、そういう人こそ強烈に自分の出産を特別だと思って、それを世の中に認めさせたがってる。わたしが産んだって、あんたの特別はわかってやれないのが道理なのに。
ナンシーこの間も土曜日の午前中の番組で、ほんとに普通の郊外に住んでるみたいな夫婦が出てきて、出産について語ってるんだよ。40歳くらいで2人とも鈴木ヒロミツみたいな顔で似てんだ。そしたら急に家庭用ビデオで撮った自分の水中出産シーンを流し始めてさ。これテレビだろって一瞬目を疑ったよ。出産の前には自分の裸をテレビで流すというハードルがもうないんだよ。
町山  でも、文句言えない。
ナンシー偶然見た私が悪かったということで、泣き寝入りしなけりゃいけない。あれを生命誕生の素晴らしき瞬間という風に受け取るためには、何かの変換器がないとダメだとしか思えなくて。その変換器が出産経験なのかと思ってさ。
─(後略)─
ナンシー関×町山広美 隣家全焼 「ママ、アイ・ラブ・ユー! “母”は日本のアンタッチャブル」より

あはは、2人の魔女がわたしの代わりに美しい正論を吐いてくれてるよ。鈴木ヒロミツ似の夫婦ってのが何ともいえぬいい味でないか。「ご出産」にも妊婦ヌードや出産シーン撮影なんて当然みたいに出てくるもんな。“特別”であることを強調するのが少子化対策担当相の目論見だってか。
会陰切開・切迫早産・ラマーズ法・帝王切開(そろそろ天皇切開と改名してもいいのでは…)など─あと、自宅風の産院別室で助産師さんが取り上げ亭主がへその緒気って小学生みたいな長男も介添えなんてすごいのも─ブキッシュな知識しかもってなかったわたしだが画に描いてもらったので、よーく分かりました。
でも、わかんないのがいつ生まれるかって(時刻のこと)のがまだこの時代、きちんと医者に見てもらっていても分からないあたりは凄いなと。全然凄かないか。

それより…

困るのは、ゴマ文庫、買えないぞ。ケータイ小説ってケータイで読めばいいんじゃないの…って、でもパケ代も高いしねって、どうでもいいか。