光文社文庫 2011年1月刊 東野圭吾 あの頃の誰か

あの頃の誰か (光文社文庫 ひ 6-12)

あの頃の誰か (光文社文庫 ひ 6-12)

単行本未収録短編の拾遺集東野圭吾の悪い癖である“無駄などんでん返し”が入り込む間がなかったりする短さのせいで、あの苦いイライラ感を感じずにすんだのはいいこと。ショートショートミステリー「眠りたい死にたくない」はいいですね。も少し長くして悪女と片割れの破綻シーンまでほしい、死んだ主人公の胃の残留物とかもっと大きな犯罪を背負っちゃうとか、こちらにこそ“どんでん返し”がほしかった。
バブルを経験したわたしやあなたであったとしても、もういまさら過去を改竄できず、そういう意味では軽い軽い「シャレードがいっぱい」で告解できちゃう東野圭吾って(もちろん反語的な意味で)身軽でうらやましいです。