幻冬舎文庫 11年8月刊 小林賢太郎戯曲集 CHERRY BLOSSOM FRONT 345 ATOM CLASSIC

小林賢太郎ラーメンズもほとんど知らないまま、ここまで生きてきました。うーん、どうなんだろうね漫才とかコントとかの範疇でしょこれって。M−1グランプリとかに出てくるまあまあの漫才さんたちならこの作品くらいの持ちネタ、いくつも持っているでしょう。で、そのネタを本にしたいと思うかだよな。
井上ひさしでもあったな、てんぷくトリオ用に書いたコント台本を文庫で読んだ、「井上ひさし笑劇全集上下」2巻を30年以上昔に読んでます。でもって井上ひさしの台本はもちろん戯曲ではない。三波伸介伊東四郎戸塚睦夫(ただきょろきょろするだけ)に割り振り彼らの挙動所作アドリブでみせるものである。逆に「道元の冒険」が熊倉一雄のテアトルエコー向けに書かれたもの(一人何役とかをギャグにするとか)であっても、それを蜷川幸男が演出し阿部寛栗山千明が演じるのが、戯曲・劇作というものだから。
小林賢太郎の戯曲はどうか、YouTubeラーメンズの公演をわたしははじめて見る。黒装束で個性を消した二人の登場人物だから、ラーメンズの二人でなくとも演ずることはできるだろうが、なんというのかな、そうするとただの二番煎じにしかならないんだと思う─あくまでYouTube一度見ただけの人の意見です。大変失礼だが小林賢太郎コント集として世に問うた方がよかったのじゃないかな。もちろんチュートリアルとかオードリーとかナイツとかの、名コント集とか文庫で出るのなら読みたいです、でもさ、フランス座のストリップの幕間のボードビルの台本書いてた井上ひさしのような、そういう招かざる客みたいな状況で笑いがとれるのかい…って私が意地悪いってもしょうがないけど。
戯曲集に入っていた「バニーボーイ」をYouTubeから貼っておきます。そこそこ笑えるし不条理劇っぽい不気味さもあり、普通に面白い。でもたとえばこれを現代演劇の最前線に置いてみたときに「オールビーっぽい」とか「渡辺えり子っぽい」とかから一歩先にとはなかなか思えない。