光文社文庫09年12月刊 西條奈加 烏金

烏金 (光文社時代小説文庫)

烏金 (光文社時代小説文庫)

 
時代劇としてこれって江戸期のどのへんか読んでいて気付かないのは大きな弱点だ。どこかにヒントがあったかもしれないが(田沼とか水野とかその他事象が)わたし程度の読者に気付かせないのはいけないことだと思う。江戸300年って長いんだぜ、作者にはぜひ昭和が平成が300年続く社会の怖さ不気味さをわかってほしい。
一般論としていわせていただくなら、現在流通している時代劇のうち半数以上は明治後半から大正デモクラシー・大震災から昭和初期に時代を移したほうがいいように思う。明治100年という言葉がわたしの子供のころあって、それから50年だ。時代劇を書くという意味が50年若返ってもいいでしょ。
小説中のエピソードもすべて近代で流通するし、たぶん明治期の新聞雑誌でリアルをもっと追及できるはず。江戸期に設定することで無意味な枷で小説を下品にしているように思う。