文春文庫09年2月刊 鏡リュウジ オルフェウスの卵

オルフェウスの卵 (文春文庫)

オルフェウスの卵 (文春文庫)

著者のブログ中で本書について語っておりますのでどうぞ。そちら以外にあまり本書に関していうほどのことはありません。

http://kagami.nifty.com/kagamilog/2009/02/post-80f7.html

著者の名はJ-WAVEだったかのFM放送ではじめて聴いた。甘いが説得力のある声質で星占いなどに興味のないわたしだがなんだか聞き入った記憶がある。本書はそのころに連載されたエッセイのようだ。単行本になったのも10年ほど前のよう。こういった発掘作業ってのは文庫編集者の腕の見せ所だね。とはいえエッセイだかレビューだかとしては内容が中途半端な印象が読後の感想です。
わたしたちには澁澤龍彦がいて、種村や荒俣もいて、鷲巣繁男や多田智満子となると歯が立たなかったりするが、まあなんというのかこういった西洋摩訶不思議譚ではなかなか読みやすくかつ読みごたえのあるものが少年時代から揃っていた─鏡先生がボルタの人面獣面図を知らなかったなんてちょっとね─ので、こういう書籍を上梓するならもうすこし“今風”とするかなにか工夫がほしかったところだ。
ま、わたしにしてもボルタの人面獣面を知ったのは、黒魔術の手帖の前に「エコエコアザラク」だったので、でかいことはまったく言えない。でもあのときの黒井ミサはヒョウに変身する際、全裸にならなかったか。もう、それこそどうでもいいことですが。