光文社文庫 08年12月刊 矢崎存美 訪問者ぶたぶた

訪問者ぶたぶた (光文社文庫)

訪問者ぶたぶた (光文社文庫)

ま、「メルヘン」というのか「おとなの童話」というジャンルなんだか、よくはわからないがどちらかといえばこういう作品集とは無縁の読書体験を続けたかった。
こういう存在が普通に流通する現在この世界が不幸というほかない事態であり、やっぱり不幸はトルストイのいう風に“各自で独自に保存”していただいたほうがえぐみも悲惨さもきちんと熟成されるものでして、あまりにあからさまにパブリックな場所で公開されちゃうと“不幸という名のギャグ”にしかならない。作者がこれを楽しげに書いているふうにみえるあたりが身につまされるというか“物語の不毛”の時代という現実を如実に語っていて悲しく不気味だ。各短篇についても言及はしたくない、しちゃえばやっぱり何かが壊れるだろうしね。くさしてしまってなんですけれど、著者のブログを貼っておきます。

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