ハヤカワ文庫小冊子 強い物語。ハヤカワ文庫の100冊

早川ならではの100人の作家、100冊。もちろん早川的選別が趣味にあわない人も多いことでしょ、もちろんわたしもそのひとり。なんかこう早川的な作業(選択・編集・販売)って“嫌われるオタク”っぽいえぐみまるだしだもんね。
とはいえ早川でしか読めない書籍も多くあるし、もうひとつマイナーな書肆だと陳列場所の確保とか流通面の苦慮もあるだろう、頑張ってもらいたい出版社ですか。ヴォネガット、グールド、原徐??サの他、早川でしか読めない好きな作家も大勢いますし。
その早川の「百冊戦争」参戦はまあ楽しいことではあるけど、いっそ夏休み、新潮・角川・集英社戦線に躍り出てほしかったような気はするな。中高生夏休み感想文に照準ってことで読者層など考えると選び方も少し変わるだろうが、読書好きの馬鹿な中高生を増やす努力をしてほしかった。棚はね、平台はね、いや、なせばなるものだよ─来年に期待…って文春もいっそ夏休み「百冊戦争」にうってでてよ。
オールド日本SFが光瀬龍のみは毎度のことだが淋しいし、国産ミステリもなんとかがんばってほしい(ポケットブックスで黒死館を読んだわたしだが)し、漫画文庫アズマニアもちょっと色つけてほしいし、別役実も選んでほしかったし、そうだなんでヴォネガットは…個々のセレクションは文句つけても仕方ないね。でも、100冊、わりと読んでいる本が入っていて、腐れ縁ではきつすぎる言い方だけど、これからもお付き合いしてゆかねばならない早川書店の新たなチャレンジに拍手を贈ります─パチパチパチパチ。