ハヤカワ文庫08年8月刊 野田昌宏 スペースオペラの読み方

スペース・オペラの読み方 (ハヤカワ文庫JA)

スペース・オペラの読み方 (ハヤカワ文庫JA)

第二部「スペース・オペラ的快楽のすすめ」の各エッセイがそこそこ面白いですねと、真面目顔でいってはいけないか。まあでも、テレビ局時代のどんちゃかが描かれていたから「レモン月夜の宇宙船」という短編集はいいできだったわけだし、そういう意味で野田さん、創作に関しては地に足がもすこしついていたなら“北陸地方のさるネット局から実習に来ていた若い娘”の駆け落ち譚や“アメージングストーリコレクターのお爺ちゃん似の美人タレントとの一夜”など、文学…ワハハ、僕たちの好きな日本SF方面に行けたじゃないですか。
とまれ、氏のコレクター魂は充分伝わりました。ハインラインやクラークの名作をスペースオペラに換骨奪胎するという思考実験みたいな第一部は、無駄というかSFの巨匠名作への誉め殺しにしかなってないよう。著者の限界といってしまっては失礼だが、ちょっと回路が、ワハハハ、でした。