ポプラ文庫08年6月刊 角田光代 岡崎武志 古本道場

([か]1-1)古本道場 (ポプラ文庫)

([か]1-1)古本道場 (ポプラ文庫)

道場という意味を勘違いして購入。道場破りの角田が古書にはうるさい岡崎に戦いを挑むという形式かと書店で立ち読みしている時にそう思い込んでしまった。大橋巨泉の「11PM」で、マージャン入門みたいなコーナー、同じ山、同じ配牌でアマチュアとプロとが打ってみて読みの深さを知るというのがあったけれど、同じ古書店に時間をずらして入店し、どちらが掘り出し物をどれほど見つけるかなんて、興味あるよね…あるかな。
愛書家が愛書家の作業振りを愛でるなんて形式が、こういう書籍に関する本の場合強く出すぎると辟易しちゃう。もっと書物が好きでない人向けの古書店巡礼ガイドにしてほしかった。もひとついえば鑑定団の視点もね。掘り出し物の価値…著者の思いいれ、だけではない実勢価格の妙味も表してほしかった。いずれにしろ古書店ガイドはわたしには不用だ。出歩かなくなったし、だんだん古い本を読む気力が失せてきたし、ついでにいうとブックオフもそれなり奥が深いしさ。

…前略。西荻古書店を巡った角田がインチメイトな雰囲気を感じて…
棚におさめられた本は、みな一度は誰かに読まれ、その誰かを作り上げる小さな細胞のひとつになり、そしてここにきました、というかんじ。だから、不思議な安心感がある。信頼のおける友達に、本を薦められたような安心感だ。お店の人たちも、それを承知で本を扱っているんだろうと思う。
…後略
 其の七 西荻村を満喫 より

ま、その、他人の出合いや嗜好にに口を挟む気もないが、やっぱりね、みなこれ個人的な体験以外の何者でもなく、それで充分なのだねとちょっと突っぱね気味の読後感でした。