新潮文庫 08年7月刊 吉本隆明 日本近代文学の名作

日本近代文学の名作 (新潮文庫)

日本近代文学の名作 (新潮文庫)

まあ、変な本でした。こういう文庫を手に取る人たちの意識やら知識たちよりもかなりの低空を、失速寸前のヨタヨタで呆れるほど呑気にかましてるというのか。晩年の武者小路にたとえてもいいほどの呆れた爺さんをやってくれています。聞き書きという手法がこのばあい悪く出たのだろう。文学好きだが「吉本(笑)」的な感性の持ち主が編集したならアウフヘーベンできたかな。ほぼ好悪みたいな印象批評以前で批評精神は止まり、郷愁というかおりこうだった自分の青春読書への思い出でしかない気の抜けたレビューでした。逆にいうなら、そういう青春文学遍歴でまとめるという手法は有効かも。ボケる前に編者よ急げ!