集英社文庫 10月刊 吉永小百合 夢の続き

夢の続き (集英社文庫)

夢の続き (集英社文庫)

ま、もうじき古希の吉永小百合集英社文庫10月新刊の「夢の続き」中の写真もみんな婆あだなあ。わたしより10歳上の終戦の年生まれ。

1962年の秋の終りに、浦山桐郎さんとの出逢いがありました。今村昌平さんの助監督だった方で「キューポラのある街」(1962年)で監督デビューされるというのです。まだ映画に出演したことがない少女をキャスティングしようとしたのに、会社から「浜田光夫と吉永をつかいなさい」といわれて、困っておられました。私にじかに会って、決めようとされたのです。
監督の思いは叶わず、私が主人公のジュンを演じることが決まりました。
 集英社文庫「夢の続き 赤いブラウスで撮影所へ」より

浦山桐郎「暗室」よかったですね。ロマンポルノをもっと意識し嫉妬し対抗心持ってアウフヘーベンできたならすごい監督になったろうに早死にしちゃって残念です。「龍の子太郎」「青春の門」「夢千代日記」と、吉永小百合とは因縁みたいに最後までお付き合いした監督だったのだから文芸ポルノの傑作を小百合さんと組んで作ってほしかったです。
でもわたし寅さん映画や夢千代日記吉永小百合のうつくしさをを理解するというか、日活青春映画での吉永ってあまり知らないわけです。でもこのたびのラインアップでは10代の彼女の作品が多く選ばれていて、ええまあそうですね、このたびの表紙になっている朗らかげで頬につやの溢れた美しい時代の彼女が映像でよみがえるのはとてもよいことだと思います。
朝日新聞(新潟では11月6日朝刊)記事で、映画「北のカナリアたち」主演の吉永小百合へのインタビューがありました。

http://digital.asahi.com/articles/TKY201210310536.html?ref=comkiji_txt_end

記事の最後に記者のひとこと。

前略…
北海道・利尻島での撮影を取材した時のこと。カメラのセッティングなどで時間が空くたびに、足元の悪い岩場をぴょんぴょん歩いて私たち記者のいる所まで来て、作品の話をしていく。そんな俳優に初めて出会った。(文・石飛徳樹)

なんというのか、こういう自然のサービスっていうのか、まあ笑顔だけでもいいんだがそういうことができるひとがうらやましいな、自分もそうなりたいものだなあと嬉しい羨望が読者のわたしをぐんと襲ってきました。