文藝春秋の新刊 1999・11 「黄昏」  ©大高郁子


ジャズマンですね、わたしの大学時代のサークル仲間カナエちゃん、彼女のアパートに“ミュージシャン”が住んでるんだって自慢というより、自分でも驚いているというふうに語ってました。彼女は信州の出身で、わたしの田舎は新潟だし、歌舞音曲で食ってる人なんて見たことなかったわけでしょ。
カナエちゃんの隣人だったミュージシャンも、この画のように街に溶け込んで楽器を鳴らしていたんでしょうかね。タイトルは黄昏、けっこう“らしくない”色使いや遠近法に少し驚き。ヨーロッパの住宅街なのでしょうか。

 ハヤカワ文庫 2008年3月チラシの紹介


早川書房の新刊案内 2000 3

カプリス・クレイン リニューアル・ガール

ローリー・リン・ドラモンド あなたに不利な証拠として

ハヤカワ文庫の最新刊
クルト・マール 五十嵐洋=訳
宇宙英雄ローダン・シリーズ 345 肉体喪失者の逃亡

フィリップ・K・ディック 浅倉久志他=訳
ゴールデン・マン
まだ人間じゃない


エリザベス・ベア 月岡小穂=訳
サイボーグ士官ジェニー・ケイシー 1 HAMMERED 女戦士の帰還

森岡浩之
機械どもの荒野《メタルダム》

神林長平
永久帰還装置

レイモンド・E・フィースト 岩原明子=訳
リフトウォー・サーガ 第1部 7 永遠の都

デイヴィッド&リー・エディングス 宇田川晶子=訳
ドラル国戦史 神託の夢

ジョー・ウォルトン 和爾桃子=訳
世界幻想文学大賞受賞
《「アゴールニンズ」改題》 ドラゴンがいっぱい! アゴールニン家の遺産相続奮闘記

ジュリアン・ストックウィン 大森洋子=訳
海の覇者トマス・キッド・シリーズ ナポレオン艦隊追撃

アーロン・エルキンズ 嵯峨静江=訳
ケルトン探偵シリーズ 骨の城

T・ジェファーソン・パーカー 七搦理美子=訳
カリフォルニア・ガール

ジョージ・P・ペレケーノス 横山啓明=訳
変わらぬ哀しみは

ジョージ・クライル 真崎義博=訳
チャーリー・ウィルソンズ・ウォー 上・下


演劇文庫

福田善之 1 真田風雲録


早川書房の最新刊


 創元推理・SF文庫 2008年3月チラシの紹介

※…すみません、アップしそこなったため、画像は後日

新刊案内 東京創元社 2008 3

加藤実秋 インディゴの秋
文庫新刊ご案内 創元推理文庫

フィリップ・マクドナルド 霜島義明=訳
ライノクス殺人事件

シャンナ・スゥエンドソン 今泉敦子=訳
(株)魔法製作所 おせっかいなゴッドマザー

W・H・ホジスン 夏来健次=訳
幽霊狩人カーナッキの事件簿

加藤実秋
インディゴの秋

樋口有介
木野塚探偵事務所だ


文庫新刊ご案内 創元SF文庫
J・G・バラード 柳下毅一郎=訳
クラッシュ

夢枕獏
遥かなる巨神


新刊・近刊案内
海外MYSTERY通信
事件の“結末”から始まり、“発端”で終わる異色の逸品として名のみ高かったマクドナルド『ライノクス殺人事件』が、新訳でお目見えします。半ば伝説と化した作品の実像を、ぜひお確かめください。探偵小説ファンには、怪奇版シャーロック・ホームズと称されるホジスン『幽霊狩人カーナッキの事件簿』もおすすめ。
国内MYSTERY通信
3月の国内ミステリは、若者とシニアの変り種探偵が登場する2冊。いい男(だいぶ個性的だけど)揃いのホスト探偵団の活躍を描く、加藤実秋『インディゴの夜』。さらに、海外のハードボイルド探偵に憧れる木野塚氏(60)の奮闘が楽しい、樋口有介木野塚探偵事務所だ』。あなたは、どちらの探偵に依頼しますか?
フロンティア通信
2008年最初のミステリ・フロンティアをお届けします。乱歩賞受賞の気鋭・早瀬乱の『サトシ・マイナス』。ぼんやりした大学生・サトシは、14歳の時に眠ったはずのもう一人の自分からの手紙を受け取る。それをきっかけに始まるおかしな探偵行の行方は?かつて25項目のリストで自分を“分割”した青年の成長を描く、明るい多重人格小説の登場です。もう1冊は、お菓子を巡って起きる事件と人間模様、そして職人の矜持を描く、上田早夕里の連作短編集『ショコラティエの勲章』。今年もさらなる新鋭たちの活躍にご期待下さい。
創元SFクラブ
復刊フェアでも短編集の再刊が大好評のバラード。その“最も危険な作品”と語られる傑作『クラッシュ』が初文庫化。また日本SFの夢枕獏『遙かなる巨神』は著者最初期の傑作集の増補版。これまでの文庫版に収められなかった、初期の代名詞的作品「カエルの死」等のタイポグラフィクションの数々も収録しました。



 創元SF文庫 読み終えた3冊

2007年7月刊 鏡明 不確定世界の探偵物語

まあ、タイムマシンができた時代だというのに携帯電話がないというのはどういうわけかな。
それはともかく全体の構図は楽しい。主人公(探偵)が活躍する時代はワンダーマシンによる改変のせいでモアベターな世界であると、探偵だけでなくすべての人間が思っていたというのに、実はまだ改変途中であるというのはいいアイデアだと思う。車で走り回る探偵が見る都市の風景が改変によって茫漠としている─みたいな描写がどこかにあったのだが探し出せない。みつけたら抜粋を貼りますね。
短編ひとつひとつはパロディというかどこかで見たハードボイルドの焼き直しなので論ずるほどではない。ジェニファーがラスト2編目で死んでしまうのは、小松左京の「時間エージェント」とのリンクを示しているのかな。でもあっちのほうが面白かった。アメリカとソ連と中国の首脳の子ども時代を誘拐してきて、それをインドの国連大使の子ども時代が躾けて、国連総会でたしなめるってのとか。
わるいけど、鏡明って人が作家として大成しなかったのがよくわかります。

2007年9月刊 堀晃 遺跡の声

なんだか人間同士による恋だのセックスだの倦怠期だのなんてつまらなくて、やってられないって気になるのが冒頭の「太陽風交点」。今は亡き婚約者(聡明な科学者だった)の脳細胞からできた宇宙船の様子を見に行くかつての恋人という設定は不埒だが美しい。調査員の“私”も人間っぽくなくて、だからそのへんを面白がるというのもハードSFの読み方なのだろう─っていうくらいでハードSFは食わず嫌いなわたしだったのです。
というわけでとてもすてきな雰囲気を持った冒頭作の余韻で読み進んだ以降の短編なのだけれど、地獄めぐりというのか、そういう作品はまあ今までも読んできたしな、何か違うかなってね。

2007年11月刊 新井素子 グリーン・レクイエム緑幻想

グリーン・レクイエムのみ読んで、その先に進めなかった。
彼女が植物人間だというのは謎ではないのか。もすこしそういった謎解きだのサスペンスだのを持ち出せないのかと、不可解な気分で読み進んだ。もひとつの不満はもちろん異生物同士のおぞましいか滑稽かはともかく性交シーンがないこと。