2007年版 文藝春秋新刊案内

1月・2月・3月

1月 招き猫
2月 おもちゃの船
3月 針と糸

4月・5月・6月

4月 大磯の浜から
5月 アンテイークのコルク抜き
6月 三角定規

7月・8月・9月

7月 文月に
8月 桃太郎トマト
9月 インクとペン

10月・11月・12月

10月 ベランダ猫
11月 都心の月
12月 冬至のカボチャ 

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文藝春秋の新刊 2003・11 「葡萄酒」 ©大高郁子

影がね、いいんですよ、この頃までの大高作品。くしゅくしゅくしゅって細いロットリングでスペースを囲っていくような粗雑とクールの両面作戦といっていいのか。
江戸切子に描かれたマリアッチっていうこのナイスな杜撰さとグラス上面にわずかに見えてる血の色に似た赤ワインに透明感がなく淫蕩な揮発性そのものみたいな無謀な一帯を、軽い苦笑とため息でぐいととどめているのが、和風で小粋でグラスを落ち着かす背景色。何の変哲もない蕎麦猪口でしょうみたいに画面を鎮め、香りたちかけた騒擾と紊乱の気配が危ういところで回避されてる…なんてこれではちょっと読み込みすぎたでしょうかね。

文庫チラシコレクション ハヤカワ文庫 2007年5月チラシの紹介

早川書房の新刊案内 2007・5

マイケル・ホワイト 横山啓明=訳 五つの星が連なる時

リチャード・ドーキンズ 垂水雄二=訳 神は妄想である

ハヤカワ文庫の最新刊
フランシス&ダールトン 五十嵐洋=訳
宇宙英雄ローダン・シリーズ 335 雷神基地

マイクル・ムアコック 井辻朱美=訳
永遠の戦士エレコーゼ 1 黒曜石のなかの不死鳥

タニス・リー 井辻朱美=訳
銀色の愛ふたたび

ジョン・C・ライト 日暮雅通=訳
ゴールデン・エイジ 2 フェニックスの飛翔

ジョージ・R・R・マーティン 岡部宏之=訳
氷と炎の歌 2 王狼たちの戦旗 ?

田中啓文
忘却の船に流れは光

仁木稔
ラ・イストリア

ロバート・ジョーダン 斉藤伯公 月岡小穂=訳
竜神飛翔 6 夢のナイフ

デイヴィッド・エディングス 宇佐川晶子=訳
タムール記 5 冥界の魔戦士

パトリック・オブライアン 高津幸枝=訳
ジャック・オーブリー・シリーズ 灼熱の罠、航海遥かなり 上・下

シャン・ハーユー&チエン・ユー 和泉裕子 井上実=訳
女帝 エンペラー

リサ・ウンガー 対馬妙=訳
美しい嘘

ラリー・バインハート 真崎義博=訳
図書館員 上・下

エドゥアール・ロネ 高野優=監訳 柴田淑子=訳
変な学術研究 1

アミール・D・アクゼル 林一=訳
《数理を愉しむ》シリーズ 相対論がもたらした時空の奇妙な幾何学
カズオ・イシグロ 古賀林幸=訳
充たされざる者

ハヤカワ演劇文庫
ソーントン・ワイルダー 鳴海四郎=訳
わが町

ハヤカワコミック文庫
高橋葉介
夢幻紳士 怪奇編
ハヤカワ・ミステリ 1799 
既刊 1699点
シャーウッド・キング 尾之上浩司
上海から来た女
早川書店の最新刊

映画案内 アポカリプト


ハヤカワ文庫 燃え萌え雑学フェア ©イトウゆーじ

友だちがたくさんいる人、スピーチで笑いをとれる人、部下に慕われる人…彼らはみな雑学を身につけている。雑学は人生の勝利をつかむキーアイテムなのだ。萌えイラストや劇画に惹かれてこれを手に取ったあなた!ネタが豊富な人気者に変身する絶好の機会を逃してはならない。ハイセンスなうんちくの宝庫、早川・ノンフィクション文庫から珠玉の雑学を取りそろえた「燃え萌え雑学フェア」開催中!

雑学ミニクイズ

フェア作品紹介
「パズルランドのアリス ?」「キリン伝来考」「怪しい科学者の実験ガイド」「訴えてやる!大賞」

「雑学フェア」チラシ。表紙にクイズが4つ載っているのだが

まあ、紹介はしません…ってか、紹介したならわたしが馬鹿にされそうだから。Q&Aのひとつ、出典が別役実「道具づくし」だぜ。こんなクイズで遊んでいるうちに“おいとけさま”も“みがき帯(いちゃもんつけには笑ったが)”も“ごまみそずい”も数十年後には実話(!)として伝わっていたりして。
とはいえ、ハヤカワ文庫には感謝してます。別役実の作品のいくつか文庫化していてくれていてありがたい。

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/%95%CA%96%F0%8E%C0/list.html

こうやって紀伊国屋の在庫を眺めるに、三一書房できちんとビブリオなり全集なりがあってしかるべきなのに、そよそよ族やマッチ売りや戒厳令やけものづくしや名探偵X氏などの著作が、入手不可ではおじいちゃんがあまりにかわいそうだ。
早川といえば演劇文庫(なにか「─いえば」だ。まだ一冊も購入してない)ですので、ここはひとつ別役実戯曲全集などがんばってみてはいかがなものでしょうか。

購入したのは「変な学術研究 1」 

さて、著者のエドゥアール・ロネについてはあまり詳しいことはわかっていない。原書の裏表紙によると、元技術者で、フリーの科学記者を経て、現在は日刊リベラシオンの文化面の記事を担当しているということである。著書にはほかに「法医学」に関して面白いエピソードを集めたViande froide conuichons(まぬけな死体)がある。

   「変な学術研究 1」監訳者高野優あとがきより抜粋

序文でロネさんが日本人学者3人による「はとによるモネとピカソの絵画の識別」という“わくわくする”研究を一例としてとりあげてくれたおかげで、興味が湧いてはきたけれど、かといって雑学博士のレパートリーを増やすまではいきそうにないのは、やっぱりロネさんアメリカ人でも日本人でもないせいではないかと今では思ってます。エスプリのみで一冊亘っているようで、そうなると好悪が分かれるだろうな。

(様々な遺伝子改良羊の研究が進み)…遺伝学のおかげで、人は皆、自分のために生きられるようになるのである。
こうして、科学は様々に羊たちの欠点を補ってきたが、おそらく将来の目標は羊毛を取るにも、羊肉を生産するにも、羊そのものを必要としなくなることだろう。そうすれば、これまでおとなしく人間の役に立ってきた羊たちは、晴れて野生に戻ることができる。現在、科学はこれだけ進歩したのだから、おそらく羊たちだってそれを夢見ているにちがいない。

   「2・おあつらえの羊」より

まあどこかで別役実と通底しているわけだけれど、何だか一読者としてわたし、歳を経るにつけ「健康」一般に読み物がすこしずつだけどシフトしているみたいな気がしないではないんだってこれはみっともない、フゥッとため息だ…。