新潮文庫09年9月刊 NHKスペシャル取材班 グーグル革命の衝撃

グーグル革命の衝撃 (新潮文庫)

グーグル革命の衝撃 (新潮文庫)

どうしてもググって出てこない話題というものがある。たぶん誰にもある。いや、誰にもあるということはない。わたしにはあるがでも“ぜんぜんない”という状況を措定できることが幸福な状態なのか。わたしのような“楽しいマヌケ”としての善き知的生活となるとGoogleから零れおちる部分にこそ興味があるので、この本、全然バカじゃんと。平成22年のわたしは「ツイッターノミクス」という二流の(ここに力点)才女が示すWeb2.0礼賛提灯啓蒙書でまた「なんだっけかなあ」とため息ついていて、やっぱりそこからすくいとられることのない部分が好きだといってしまいたい。
徒然とブログしていて(読者を待ってたりする)わたしも、まあなんとなく搦めとられて輪の中の住人なのだが、その外の世界の冗漫で退屈だけどずいぶんと屈折した甘美な日常に耐えたうえでのWeb生活(胸張って)でなければいけない。でもってこの本、そういうわたし(とかその他大勢の知的スノッブ)に変な部分でしか届かない。もひとつ偏執狂的なGoogleガイドになってないといけないんだがな。
それはでも、わたし個人でも頑張れば超えられるひとつの尾根なんだよね。ウィキペディアの凌辱みたいなのとは違い、差異を顕在化するための自由放埓で、だが綿密な知的空間が、たとえばGoogle周辺で生まれてくればいい。