角川文庫10年1月刊 白輪剛史  

動物の値段 (角川文庫)

動物の値段 (角川文庫)

ラストにテリー伊藤とのミニ対談が載っていて、その後半のほうで「何が売れるの、あれは幾ら、これは幾ら?」という感じで両者はしゃぐそこがとても愉快なのだが、結局この本にそんな愉快さはほとんど見られない。「文庫化に際し再編集し、加筆・修正」と奥付に記してあるけど、じゃあきっと改悪されたのかな。
動物商というあまり目立たぬ職業の収支決算裏話にしては、ダークだったり目からうろこだったりの部分が少なすぎ、他人がペットにできない生物の生態などが仔細に描かれているというわけでもない。
たぶんテリーさんとお喋りしていると、いろいろ引き出しからエピソードが溢れてくるというタイプの人なんでしょう。再々編集が可能なら、一度この本を読んだインタビュアーが巧みな問いでツボを見出し、秘密の話を根掘り葉掘りすればいいと思う。非常に消化不良な気分がつよく残る読後です。