角川文庫08年10月刊 桜庭一樹 推定少女

推定少女 (角川文庫)

推定少女 (角川文庫)

少女には向かない職業」「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」と本作とで、カノンというかフーガというか、バイオグラフィーはどこ?

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%9C%E5%BA%AD%E4%B8%80%E6%A8%B9

ありゃ、公式ホームページにビブリオはないや、Wikiによりますと推定、砂糖菓子が04年、職業が05年だそうです。義父に犯されるという悪夢─負の荷重でバランスが大いに崩れ少女たちは常軌を逸し、ろくでもないことをしでかすとか仕損じるとか、それらこれらで物語りが加速し、でも収斂の仕方はそれなりか。
こちら「推定少女Wikiで【『推定少女』の執筆の際、再三の書き直しを迫られ最終的に構想と正反対の結末を書くに至った自分の弱さ】などと記されているけれど、でもその落とし前のつけかたとして3つのエンディングとは読者を舐めてはいないか。だがある種、これって女性的な復讐なのかもね。
大変申し訳ないけれど「私の男」「製鉄少女」など最近の作品でもまだ完成途上の作家の作品としてしか読めず、でもまたそれが魅力なんだな。頂点を目指す作家の軌跡を同時進行で見れる喜びみたいで、だからいまは作品中の欠点もけっこう大目に見てる…のだがこの本、1年以上放っておいたな。