2007-01-05から1日間の記事一覧

「…横メルカトル」続き

2つのいじめ小説と恐怖の「Ωの聖餐」を除けば、幸福な読書体験というほどの作品群ではない。 「悪夢狩り」とか、まあいくつかの焚書関係SF小説の模作でしかない「オペラントの肖像」。 「卵男(エッグマン)」は、まあなんだな、クラリス・スターリングが…

文藝春秋の新刊 2006・2 「チョコレート」©大高郁子

象の押絵のチョコレート。つやつや感のないチョコレート。邪推だけれどこれ、チョコのプレートじゃなくてビスケットでしょ。アルファベットのビスケットにチョコがコーティングされたお菓子については向田邦子がなにか書いてた。不誠実なチョコレートへの怨…

平山夢明短篇集「独白するユニバーサル横メルカトル」光文社より「Ωの聖餐」

「腐りかけの象がいた。部屋中に肉が充満したような巨体(体は爆発文字。身編に區)。ついているはずの鼻はなく、敷布のような耳もなかった。あるのは冗談のように生えた頭部の毛と泣きはらしたようなジクジクした眼、黴か苔で変色した皮膚だった。それは上…

象に関する2つの寓話が怖い

高橋源一郎「ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ」A面−2曲目が「オッベルと象」でポストモダン小説で楽しくかつジーンとくるものあるんだなあと感心したのが昨年春だったか。 盲目で身動きもせずマンションの一室で佇んでいる(けど糞もする)だけの象を…

大きな象はエレファント 小さな象は小僧でござい