週刊JR全駅・全車両基地 012012年7月29日・8月5日号 創刊号サービス定価 390円 朝日新聞出版

19日刊行の新MOOK、雑誌の発売は1日遅れの新潟なので書店によっては20日に発売。ほんと、書店の裁量でそういうのが決まってるみたい。

http://publications.asahi.com/jrzeneki/

うんでも、週刊MOOKで“欲しいな”と久しぶりに思いましたよ─だけどそこで創刊号マニアという自分のスタンスを思い出しグッと立ち止まってこらえる所存です…ってバカみたい。
だけどさ、画像でわかる通りで東京駅丸の内駅舎ってまだ工事中なのね、中央郵便局の上階からの大きな見開き夜景写真が挿入されているけどタクシー乗り場の脇に壁ができていて工作車両が明るさの中うごめいているとても素敵な光景だ…けれどもうじき完成するっていうんだから刊行順序をも少し考えてもよかったのか、それとも工事中という〜ing感も大切ということか、駅構内の清掃を担当する会社名(「鉄道整備」「東日本環境アクセス」だそうです)とかも出しているあたり、すげえ臨場感があります、がんばれ新聞社系MOOKよ。車両基地紹介(創刊号は田町車両センター)と、全駅紹介に関してはどうだろ、山手線各駅と南武線鶴見線のオンボロ駅と同じスペースってのはちょっと違和感、とはいえ鶴見線八丁畷や国道などはきちんと書いてくれてありがたい。浜川崎駅のびっくりは宮脇俊三「時刻表2万キロ」で知り、当時新潟に蟄居していたわたし的には何だかグッとくるものだったなあ。
とても素敵なMOOKなのだが、もう少し文学に近づけなかったか。椎名誠鉄道唱歌を下に見るわけではないのだが、なにかの香りがとても欠けてはいないか。
東京駅で思い出すのは内田百ケン(間の日が月)の「特別阿呆列車」で大阪行きの旅が始まるまでのもろもろ、まあなにしろおかしいんだがなかなか友人などからわかってもらえない。

精養軒食堂でウイスキイを飲んだ。私はウイスキイは余り好きではないが、ほっと安心したところなので、こう云う時の一盞はうまい。山系もうまそうに舐めている。それで又盃を追加して取り寄せた。お午時なのでお客がこんでいる。隣の食卓にいる三人連れは景気よく麦酒を飲んで三人共赤い顔をしている。私はお酒が好きで、麦酒はそれ以上に好きだから、だから決して真昼間から麦酒やお酒を飲む様な事はしない。人が飲んでいるのを見るのも嫌いである。隣のお客はお行儀が悪い。にがにがしく思って、小さな声で、
「昼日中から麦酒を飲んで、そら。猿の様な顔をしてる」と云ったら山系がそっちを振り向いた。山系の顔が少し赤くなりかけている。そう云えば、私もウイスキイを飲んでいることに気が付いたが、仕方がないから、これは旅中の例外であって、旅の恥は掻き捨てだと云う事にした。尤も旅だと云っても切符は買ったけれど、汽車はまだ出ていないし、乗ってもいない。
  福武文庫「第一阿呆列車」より「特別阿呆列車」p24

「点と線」などの鉄道ミステリとか、いやほかにもいろいろあるだろうし、映画のシーンとかもいいかもね。今後の編集方針に期待はしない創刊号マニアですが。

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