光文社文庫3月刊 両角長彦 ラガド 煉獄の教室 脱力のネタばれレビュー

ラガド―煉獄の教室 (光文社文庫)

ラガド―煉獄の教室 (光文社文庫)

第13回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作だそうですが、あーら残念、スカでした。第12回受賞作「プラ・バロック」に《かんしてひとこと》記したこともあったが、あちらには及第点と記してある。選者も同じみたいで、このたびの文庫には著者と選考委員の一人綾辻行人との対談も載っているほどだもの、営業関連で「受賞作なし」を回避したわけじゃない。するといったい何なんだろうかこのスカスカ感、ラガドという機関とかSメソッドという教育法とか、そういうの後出しするのはズルだろ、配置図を羅列するのは新機軸として認めるにやぶさかではないがその結末が「無意識の生け贄選択」だなんてせっかくのアイテムを無駄にしただけだし、あと中途の○○ってこの人ふざけてんのか?立派な私立中という設定なのに、学校が都内のどこにあるかが書かれていない、素行の悪い女子中学生2人が始業前に教室を出てゆこうとする、だいいち有名私立中の正門にガードマン立つだろ、設定があまりに粗雑すぎるぜ。
単純すぎる殺人事件に、こういう形の配置図を置きそれぞれの椅子に座る捜査員が自分で手に入れた情報を盛ってゆくというプロットはとても魅力的に思えるだけに、作者がみつけたそんな素敵な武器を、これほど情けなく使い果たした残骸を見せられ暗澹たる気持ちでいっぱいです。