10 2011 新刊案内 東京創元社

MYSTERY通信(海外)
10月は〈ネシャン・サーガ〉で知られるドイツ作家イーザウによる、きらびやかな大作ミステリ『緋色の楽譜』が登場。主犬公チェットの見事な描写が話題をさらったクインの〈名犬チェットと探偵バーニー〉シリーズ第2弾『チェット、大丈夫か?』、ともに、単行本でのお目見えです。文庫では、アガサ賞受賞作のマリエット『コージー作家の秘密の原稿』に、おなじみディヴァイン『三本の緑の小壜』の本格ミステリ2作に、若手の実力派コリータの大作『夜を希(ねが)う』、おしどり探偵シリーズ第2弾、ラム『天使のテディベア事件』がそろい踏み。

MYSTERY通信(国内)
山田彩人による第21回鮎川哲也賞受賞作『眼鏡屋は消えた』が登場!期待の新人の第1作をどうぞお楽しみください。そして新人賞への応募をお考えの方は、内容を新たに文庫化された野崎六助『[最新版]ミステリを書く!10のステップ』を参考にしてみてはいかがでしょうか。Web連載が好調な「パタリロ」の魔夜峰央によるミステリ・コミック『May探偵プリコロの狼狽』、文庫化にあたり『モザイク事件帳』から改題された小林泰三『大きな森の小さな密室』、単行本版に1編追加された三木笙子『人魚は空に還る』など今月も盛り沢山です。

創元SFクラブ
大変お待たせいたしました。日本SFを創作・評論の両面から支えたニュー・ウェーブSFの旗手、山野浩一の傑作選2冊を創元SF文庫よりお届けいたします。傑作選I『鳥はいまどこを飛ぶか』には、実験精神に満ちた表題作を始め、三島由紀夫安部公房星新一らに絶賛された「X電車行こう」や、「消えた街」「霧の中の人々」などの代表作を収録。傑作選 II『殺人者の空』は、仮面社版の同題単行本収録作をはじめ、類を見ない山岳SFの傑作「ザ・クライム」、同人誌「宇宙塵」に連載された幻の中編「開放時間」、同じく単行本未収録「内宇宙の銀河」など入手困難を極めた名作を集成。雑誌「NW-SF」創刊からサンリオSF文庫などで先鋭的な海外SF文芸の紹介に尽力した著者の真骨頂とも言うべき全19編をご堪能あれ。

山野浩一…うーん、購入しませんでした。ハヤカワSFブックス「鳥はいまどこを飛ぶか」は持ってました。筒井康隆脱走と追跡のサンバ」でけちょんけちょんにいわれ放題だった山野浩一だけど、(多分)ほとんどめげずにインナースペースものの傑作をものにしていた。大した作家ではなかったけれどSFをたった一人で包囲して、SFの底を抜く触媒になった。そういう意味で評価に値する作家だけれど、うーん、やっぱり買えなかったか。

東京創元社新刊案内9月は《こちら》にあります