東京創元社 2009 7 新刊案内

表紙は高城高「函館水上警察」のカバー。完全復活をはたした著者が放つ待望の新刊だそうで、まあ昨年から文庫で復活を応援していた東京創元社としてもうれしいかぎりでしょう。でもパスしちゃいましたが。
いつもは月末に購入する創元文庫ですが今月は早々に新刊が並んでましたね。そういうあたり小さな書肆のいらだたしさ楽しさ感じないわけでもないけど。

購入したのは坂木司「切れない糸」

切れない糸 (創元推理文庫)

切れない糸 (創元推理文庫)

堀井和子とは逆でとてももっさりと鈍重でヴィヴィットさに欠ける喜びを見出せぬ読書体験でした。東京の下町ってひどい田舎なのね、第2話でファッションセンスに欠けるOLが出てくるが、まあそれがすべてか。坂木司は創元文庫で引きこもり探偵短編集「青空の卵」を読んでいるはずで、でもあの時も読むのが苦痛だったな。引きこもりのくせになのか、ひきこもりだからなのか、敬語や丁寧語が使えない主人公というのがあきれるというのか読者を舐めているというのか。なぜ引きこもりで社会にでれないかを言葉遣いだけで表そうとしてもねえ。
周囲の空気まで著者は丁寧に描いていると悦にいってるかもしれないがもうそこのところがひどく空しいのだな。ミステリに拘泥したせいで文体から明快さが失われているのでは。