高橋源一郎「ニッポンの小説 百年の孤独」文藝春秋

ニッポンの小説―百年の孤独

驚きましたね、正月って稼ぎ時かと勘違いして書店をのぞいていたわたしだったのに、月刊文藝春秋が発売されて、それからやっと新刊が出た。文庫より遅いのだ。週刊文春は頑張ってるのに。殿様出勤の出版局なのね。
ホームページの単行本紹介で、27日・28日発売と書いてあるのが多いから、てっきり年末発売だろうと踏んだわたしが間抜けだった。

http://www.bunshun.co.jp/book/tankoubon/index.shtml

昨年10月までは朝日新聞とっていて、あちらは新刊の広告が普通にあった。大切だよなあ、それって。某地方紙では1面下段は難病関係・習い事関係の出版物しか広告がない。文芸雑誌の広告もない。文庫の広告もとても小さい。見逃しも多くなることでしょう。夕刊なくても全国紙に代えたいなあ。
というわけで「ニッポンの小説…」、プロローグから「その小説はどこにあるのですか?」までしかまだ進んでいません。女性誌JJに連載されている吉田修一「キャラメル・ポップコーン」を探し出す(探し出し損ねる)根気強い旅などは、いや、とてつもなくいい仕事ぶりにみえます。

実際、300頁の旅を続けた後に、『キャラメル・ポップコーン』を読むと、気の抜けたビールを飲んでいるような気分になります。もちろんこれは作者のせいではありません。どんな小説家の、どんな作品を、ここに置こうと、同じ結果になるはずです。
 …略…
近代文学」は、この、イメージで出来た「女の子」用の物語より強力なものを作り出すことは出来なかったのだと。

古井由吉「野川」、「うわさのベーコン」という名のなんだかすごいもの(選考委員の怒りをかって、文学新人賞を落選した…そうだがそりゃするわな)など、まったく未知の小説へのアプローチがこの先続いてゆくようで(知らない小説の評論を読むのも辛いが、文学論なのだし源ちゃんが分かりやすく解説してくれるでしょう)スリリングな読書体験になればいいのですが、ますます積読書籍が増えそうな気もする。