「出版ニュース」2006年2月上旬号

硬骨魚ブログに集いの皆さん、どうもです。どうもでもないのだが、当ダイアリー管理人はこのさい「文庫チラシ蒐集」という超々マイナー(実践者約1名)な趣味を諸国に広めようと、かつてはこちらブログでも頑張った過去はあるのだが、最近そちら方面をずーっとさぼっておりました。
いやあ、思えば7年前かコレクションをなんとか広めたく「ホームページ作製」に燃えて(あっという間に挫折したけど)…ブログに転向はしたけれどいちどは伝道の旅に出たのではなかったか。

本の周辺 私のコレクション
「文庫に挟まれる新刊案内チラシ」 石丸硬骨魚(清掃アルバイト)

 蒐集のきっかけなんて、ほとんど偶然です。わけあって20年近く暮らした大都会から実家に帰郷することが決まり、多くの荷物を処分したのは1900年代最後の年の暮れのこと。
 日用雑貨とともに、CD、ビデオ、そして書籍などいつの間にか集まった趣味の品々たちもみな処分するしかなかったけれど、やはりその作業はけっこう後ろめたくて腹立たしい。引越しの手順など考えながらも不快でいらだたしい気分が募った。
 「そうだ、処分するにしても何かを残すことにしよう。何かこう、自分がそれらを持っていたという証拠が残ればいいじゃないか」
 書籍に関してなら、カバー・帯・アンケート葉書・しおり・そして挟まっていた新刊案内くらいかな。でもカバーと帯を取ってしまえば古書店で買ってはもらえないし、困ったな。だとするとどの本を読んだか特定するものは残せないぞ。
 妥協案として新刊案内のチラシを手許に残した。それを眺めてみれば読んだ本や買った書店の雰囲気などの記憶が甦るかも。抜き取る作業もまあそれなりに楽しかったし、確かにいろんなことを想い出しもした。
 実家に帰り、手許に残った大勢のチラシをみるうち「これだけあるんだから、こうなったらきちんとあつめるしかないだろうなあ」と、ちょっと憮然としながら考えた。順序が逆だよ。でも、蒐集なんて動機はみなそんなものかもしれない。
 文庫各社の新刊を毎月じっくり吟味し、時々ブックオフ古書店で未見のチラシを発見すれば頬がゆるむ。読書の喜びはなんだかだいぶ変化したけれど、良書との出会いに王道があるわけでもないと自己肯定している現在です。
 いまのところ残念なのは、コレクションについて語り合う友に恵まれないこと…

このあとくどくどと「メル友募集」みたいな文章が数行

出版ニュースという専門雑誌のグラビアで「書籍に関する趣味」として取り上げてもらった。フッダーにURLを置いてある書皮友好協会の幹事ありすさんから勧められ寄稿のチャンスをもらった。
昨日わが家に、チラシコレクションを見せてほしいという方が来訪し、その客人も趣味に関するエトセトラなど問うたのだがすると、上記とは違うもっとどろどろやらへなへななどの来歴などもつい語ってしまっていた。とはいえ、上記の寄稿がまったくの嘘でもないわけでそのへんは難しいものでもあります。
とはいえ専門誌とはいえ雑誌のトップにこうして載せてもらったのに「興味を持った」という人はただの一人も現れなかったのは事実。思えばやっぱり文章に虚飾が滲んでいる─それがバレバレだったんでしょうねえ。まあなんだ、これもひとつのヒストリーです。

以下が新潟日報に載った記事です