創元SF文庫で国内SFだとさ

中学1年生だったわたしが、初めて購入した文庫本が創元。ヴェルヌの「地底探検」だったでしょうか。まあ、そのあとは角川・新潮など価格やラインアップを考慮しつつの文庫の旅でしたが、そうか、またここで歴史的転換点に遭遇したわけだ。
SFでなくてはありえないシェチュエィションのミステリ多くありませんでしたか?ブラック・エンジェルとか…。でもまあいいです。ハヤカワのSF文庫はひどく偏頗で、まあそれには大いなる理由があるんだけれど、それはともかく各社の絶版からすてきな作品を選び出してくれるなら、赤江瀑の例もあるけど、つい買っちゃうよ。ただし田中芳樹はねえ…。BSで「妖星伝」のレビューやってましたね。フーム…。

文藝春秋の新刊 2007 2 「おもちゃの船」 ©大高郁子

ブリキの船のデッキに塗られた間抜けな甲板カラーがとてもかわいい。舷側には大きなゼンマイ回しが固定されてるけれど、これ、水上を走るのか?こんな遊具で遊んだ記憶から40年過ぎたわたしです。新たな発見を見出すとしても、郷愁とは軽く結びつかないのはどういうわけだ。
波を模した青と白の船底ペイントや全体の背景色など、キッチュというより、バカッぽいお遊びっぽさが凝縮し、大高郁子的精緻さがちょっと怖くなる。すてきな小品でしょう。

川合元博ホームページ 「目くらましの道」購入

http://www.wataming.dircon.co.uk/index.htm

1年2ヶ月くらい前、旧ダイアリーにコメント&メールをいただきました。
新宿鮫についてひとこと記したわたしが「日本のマルティン・ベッグ(というか、グンヴァルト・ラーソンか)が出現かと期待した」と述べ、ついでにWEBでベッグ関連の書評を尋ねると、思った以上に“過去の作品”としてしか扱われておらず、愕然としたあとでそちらのホームページでベッグ作品の梗概をみつけ大昔の読書の追体験をした。
氏のホームページででも触れていて、またメールでも氏から読むことを勧められたヘニング・マンケル著ヴァランダー警部シリーズだったのですが、ほら、新刊書をまあ優先的に購入しているわたしなので、氏の紹介で心は動いたんだけれど(創元文庫で既刊は発売中だった)なかなか手に入れるタイミングを取れずにいた。
ようやく今月「目くらましの道」が新刊として創元文庫で出たわけなんだが、なんだか逆に川合元博書評のページにはそんなタイトルがない。

http://www.wataming.dircon.co.uk/mankell05.htm

ドイツ語を知らぬ石丸だもので Die falsche Fährteの訳が「誤りの捜査方針」がいいのか「目くらましの道」がいいのか、分かりません。でも、Villospårというスウェーデン語はなんでしょう。
川合氏はまあ、絶賛してますね。わたしはまだ数ページしか読んでません。わくわくですなあ、こんな時間が。もしもとても楽しい読書体験だったとしたら、遡ってヴァランダーシリーズ読んでみたいです。もしかしたらブックオフでもみつかるかもしれないし。マルティン・ベッグの最初も「サヴォイホテルの殺人」からと、何だかおかしなところから始め、過去と未来とを楽しんだものだ。そんな旅になればいいのだけれど。

文庫チラシコレクション 2007年2月チラシの紹介 創元 中公 各文庫

東京創元社 新刊案内 2007 2

【ミステリ・フロンティア】藤野恵美 「ハルさん」 大塚砂織・画
文庫新刊ご案内 創元推理文庫
ディクスン・カー 井上一夫訳
盲目の理髪師 新版

ジャン=クロード・イゾ 高橋啓
失われた夜の夜

ヘニング・マンケル 柳沢由美子訳
眼くらましの道 上・下

佐々木丸美
水に描かれた館

戸板康二
■中村雅楽探偵全集 1 團十郎切腹

樋口有介
《柏木草平シリーズ》 刺青白書

 〜ご案内 創元SF文庫
田中芳樹
銀河英雄伝説 1 黎明編

堀晃
バビロニア・ウェーブ


海外MYSTERY通信
マンケル「眼くらましの道」はCWAゴールドダガー受賞の傑作警察小説。初紹介のイゾ「失われた夜の夜」あは、マルセイユの不良刑事が主人公を勤めます。型破りなふたりの警官の活躍、どちらも読み逃すことなかれ。
また、カー「盲目の理髪師」が装いも新たに甦ります。濃厚なる笑いと推理の競演を、どうぞご賞味あれ。

国内MYSTERY通信
佐々木丸美「水に描かれた館」は、「崖の館」に続く<館>三部作第二弾。「刺青白書」は人気の<柏木草平シリーズ>第四弾。こんどは初文庫化作品です。そして、大変長らくお待たせしていた「團十郎切腹事件」も漸く刊行の運びとなりました。遂に開始した<中村雅楽探偵全集>を今後もよろしくお願いいたします。

創元SFクラブ
2月より国内SFの配本が始まります。記念すべき第一回配本は、双方とも星雲賞に輝く、日本SFの金字塔。田中芳樹が描く壮大な宇宙叙事詩銀河英雄伝説 1 黎明編」(以降隔月刊行)と、大宇宙ハードSF、堀晃の「バビロニア・ウェーブ」(初文庫化)。菅浩江川又千秋らの作品が順次刊行予定です。ご期待ください。


第4回ミステリーズ!新人賞 締め切り迫る

ミステリーズ vol.21
中公文庫 新刊案内 2007 2

内田康夫 竜神の女 内田康夫と5人の名探偵
中公文庫 今月の新刊
原律子
これは王国のかぎ

堂場瞬一
血烙 刑事・鳴沢了

森博嗣詩集
魔的

冨樫倫太郎
すみだ川物語 宝善寺組悲譚

陳舜臣
チンギス・ハーンの一族 3.滄海への道 4 斜陽万里 全4巻

会田優次
敗者の条件

荒巻義雄
新旭日の艦隊 3
超平気搭載計画・イースター島攻略戦・南大西洋制海権

中公文庫BIBLIO 20世紀
石射猪太郎

外交官の一生


文庫新装版 日本の歴史 全26巻 別巻 1

中公文庫3月の新刊

連続ドラマ化 今週、妻が浮気します

清水先生、ごめん

清水義範「読み違え源氏物語」面白そうだなと思っていたのだけれど、本日書店で現物を発見できず、そんな時春日武彦書評集「無意味なものと不気味なもの」を見つけた。
精神科医が小説中から病をみつけだすという、たぶんそんなものでしょう。でも、それってなんぼでもそそられるのですよね。「リゾーム」もそうだし。─はあ、チャカポコチャカポコ─って、ドグラ・マグラはないみたい、1月新潮文庫新刊「狂気という隣人」でしたね。あちら、文学っぽくないひとが文学っぽくない「ドグラ・マグラ」を解説していて、そこだけは秀逸だった。