ハヤカワ・SF・シリーズ パオロ・バチカルビ中原尚哉・金子浩=訳 第六ポンプ

第六ポンプ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

第六ポンプ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

もうひとつ読者に“きつい一発”を放てそうなのに、その衝撃をワクワク待ちかまえているのに、あれれ最後までズドンと腰に来るものが響かずの読了で、それもふくめ作者の計算だというならたぶんわたしはもう古い読者なのね。「砂と灰の人々」だっけか、犬喰っちゃいかんだろ、喰ってドラマが終わるのか?「ポケットの中の法」もそうだ、ダライ・ラマがあんな風にしゃべるか?仏教わかってないだろ。うーん、こういう手法がたぶんオリエンタルと誤解されて、欧米ではもてはやされるんだろうが、仏教徒はああいうシェチュエイションで犬喰わないよ、ダライ・ラマも死んだらあんな風に喋らないよと、すごく疲れた読書だった。まあいろんな賞を貰ってるらしいが筒井康隆とか小松左京とかの全盛期に、どんどん英語に翻訳していたなら、ちょっと日本の文壇にすてきな薫風があっただろうな。
「ねじまき少女」書店で目の前にして相当逡巡し、購入を見送った。もしかするとそれは悪い選択ではなかったのかも。