塚本邦雄 けさひらく言葉 その一より
- 作者: 塚本邦雄
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 1982/06
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卿雲爛たり、礼縵たり。日月光華あり、旦復た旦。「十八史略」
名君舜帝治世の頃は、来る日も来る日もめでたい雲がきららかにたなびき、教化は広く行き届き、陽も月も華やかに照ると歌われた。萬葉にも「みたみわれ生けるしるしあり」と泰平を祝った歌があるにはあるが、末の世に生きる者には、すべて夢よりも遥かな伝説の類だった。暗雲低迷。礼漫然たり。日月臭霧を隔つ。夕復た夕。
No.182 ◎1982.1.1◎ 金
お正月早々、そうとう縁起の悪い塚本邦雄のおことばでした。堯・舜の時代っていっても何ともいえないし、現在がパラダイスであるというのは確かな話であるけれど、いつでもどこでも悪いことはいっぱいあるよ。