創元推理文庫10月刊 D・M・ディヴァイン=山田蘭訳 三本の緑の小壜

三本の緑の小壜 (創元推理文庫)

三本の緑の小壜 (創元推理文庫)

1972年の小説だそうで、携帯もないし中学生がゲームソフトしてないし、だいいちロリコン殺人事件という範疇で、現在なら語られるでしょ、当時もあったはずなのに40年近く昔だとそういう要素で小説は描けなかったのか。まあ、わからないでもないけど。
犯人は、たぶんこの人だろうと消去法というのか、それもプロローグで…(あらいけないネタばれになる)…。
気になる点、知的障害児の独白っていうのをどうもおかしいぞというか、これも時代のせいでしょ、昔はこれで通ったということか。少女連続殺人というのにメディアが騒がない、警察も本気出さないってこれも時代か─いや、違うんだな、ミステリにうるさいレポーターが出始めたのはいつごろからだったのかなあ、「ダイ・ハード」のブン殴られ記者なんてみたあたりから変化したんでしょうか。筒井康隆フェミニズム殺人事件」では保養所の上にヘリが飛んでいた。ベン・ラドフォードがゲイだと(これもネタばれか)いう情報はもうすこし早目でほのめかしがあってもよかったか。
ツンツンのマンディ、結局みんなが魅力を分かっているみたいで、これはちょっと大衆小説のつまらないところで、ブスで性悪(性悪は合ってるが)でラストもこういう恋愛成就みたいなのは詰まらん。だいたいこの一家、この先どうなるっていうのも40年後の小説読みなら考えちゃうですよね。本邦初訳ですが、ちょっと遅すぎた紹介でした。