書店店頭配布小冊子 新潮文庫 守り人シリーズ 上橋菜穂子

すいません、2011.6と冊子の裏に記してあります。まあでもいいや、いまさらではあるかもしれないが紹介しておいても別に誰も困らないだろう。とはいえタイトル通りで新刊案内チラシとこちらってまあジャンルは違うんですよね。一時、集英社文庫NEWSを紹介したこともあったけど、このたびに関しては日付確保の意味しかないしね、とほほ。
冒頭は著者と萩尾望都との対談。ほお、いいばばあになっているのか萩尾望都

…前略…
上橋 でも、先生の作品もそうですよね。「トーマの心臓」でも「ポーの一族」でも、読んでいる間、私はドイツやイギリスの暮らしの香りをかいでいました。「グレンスミスの日記」なんてもう、大好きです!「11人いる」などもそうですが、先生は、あの頃すでに、多文化的な世界を描いておられたんですよね。しかも、横軸だけでなく、歴史という縦軸も書いておられた」
萩尾 そう、私は、遺跡などは、すごく不思議で、好きですね。昔のものが残っていて、もう人がいないというのが。ある文明が栄えては滅び、またちょっと違うのが栄えては滅び、文字も少しずつ変わっていく。もの凄く不思議というか、おもしろい。
…後略…

yom yom21号で対談すべて読めるそうです。よくわからない(守り人を全然しらない)のだが、二人の会話から推察するに「守り人シリーズ」というのはひとつの王朝が滅び、その次の王朝の消長があり、その歴史には複雑な因果があって…みたいな重層的に歴史と文化が絡まるような物語なのかな。まあ、児童文学の範疇だそうでちょっと日和見していたわたしですが「ゲド戦記」も児童文学なんだしね。
それにしても萩尾望都。上橋先生も情熱的に語っているけれど、彼女(や竹宮惠子山岸涼子)の最盛期をリアルタイムで知っている世代としては、あの時代に開いた花々たちがいままさに満開なんだな、いやもう盛りを過ぎたのかなあ…とため息も出てしまうということか。どうにも今まで手の出なかったシリーズだったし、いまさら第一巻から読むという選択はないような気がする。とはいえ文化人類学者がきちんと世界観を持って描いたファンタジーを評価できるかどうかなど、気にはなっているわけなんです。