東京創元社6月刊 フェルディナント・フォン・シーラッハ酒寄進一訳 犯罪
- 作者: フェルディナント・フォン・シーラッハ,酒寄進一
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2011/06/11
- メディア: 単行本
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序は不確定性原理のハイゼンベルグ「私たちが物語ることのできる現実は、現実そのものではない」。跋にはマグリットの絵画と同じタイトル「これはリンゴではない」が置かれていて、テキストをがっちりと規定し、それはそれで美しい。ラストに「エチオピアの男」を置いたのも編集的に正しい。日本人は白土三平「ざしきわらし」があるのでまあ、もの凄く感動はしないが(他にもありそうなんだが思い出せない)、それでも裁判の妙も含めてほっこりほのぼのはしました。
他の短編、さあどういえばいいのか、日本人のタナタさんは本当にいらっしゃったのだろうか、ジャパニーズマフィア関連の方なのかな。「棘」のフェルトマイヤーさんが20年以上配置転換されずにいても、誰も何も言わないのね、そのへん、大層ドイツ人っぽい。法律に関する考え方なども、ドイツ的に頑固で、だからそれらをうんざり読んだあとの「エチオピアの男」がぐっと来るんでしょうね。