角川文庫6月刊 西原理恵子 この世でいちばん大事な「カネ」の話

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)

当人も矛盾の人なので、これほどの小冊子でも矛盾や底抜けや「賃金、価格および利潤」のウェストンくんなみの破綻を見せてくれて、でも女の底力ってそのへんからムスムス湧いてくるってところは大いにある。大学時代に自分の画力の限界を知り、エロ本イラストレーターとして頑張ったエピソードはいいんだが、それが「まあじゃんほうろうき」で平気で身銭を切るエピソードとはもう断絶していて、たぶんほとんどの人はその隔絶から何らかの教訓も得ることはできないでしょう─わたしも呆れたままです。
もちろん、西原理恵子をわたしは好きだし、それは一人生きる女としてみてもファンであるのだけれど、やっぱりそんなファンからすればこんな教訓話ではなく、ただの破天荒なサイバラを晒しただけのほうが楽しい本になったことでしょう。