創元推理文庫2月刊 マイケル・ジェネリン =林啓恵訳 冷血の彼方

冷血の彼方 (創元推理文庫)

冷血の彼方 (創元推理文庫)

このあと4作も女刑事ヤナは続くのだそうで、それはそれでいいのだけれどだったら第一作で過去をあまり暴きすぎたり、娘を簡単に殺してしまったりはよくなかったんじゃないかな。
アメリカ人作家が描く旧東欧スロヴァキア人女性刑事が主人公の警察・犯罪小説なんだが、ちょっと大風呂敷すぎたかな。大沢在昌新宿鮫はすてきなシリーズだが末期の「狼花」なんてもう、なんでもありすぎガイ・ハミルトンっぽく脱力したけど、なんだかこちらは第一作で網羅しすぎサービス過剰で物語の細部に入る気を失せさせる。
うーんと…瑣末なことしかいえないのだがカトカが母を憎まないとドラマにならないのかもしれないが、東側の現実ってのを亡命東欧人が知らないわけないじゃない。EUの人権委員(女性)がワルだったりというのもちょっと厳しいかな。
主人公の上司トロカンはすてきなキャラだし、死んじゃったけど2匹の盲目のネコもドラマに光彩を与えていたし、ウクライナ汚職警官がニースに行くくだりも楽しかったし、だから大本の大ウソがどうにも耐えられず、物語を楽しめない。パート2〜4までどういうふうに読ませるのかちょっと想像がつきかねますね、まだ幼児の孫が絡むんだったらそうとう臭いが。