ハヤカワ文庫 10年4月刊 ナンシー・クレス 田中一江訳 アードマン連結体

アードマン連結体 (ハヤカワ文庫SF)

アードマン連結体 (ハヤカワ文庫SF)

カバー画がとても素敵。Stephan Martiniere(ステファン・マルティネア)のアートが美しくみていると引き込まれそうで奇妙にシンクロするけど、作品の内容とはちょっとずれてるかな。

http://www.martiniere.com/

SFって、まあアイディア勝負なんでいくらヒューゴー賞ネビュラ賞といわれたところで、そのアイディア自体に陳腐さをほんの少しでも感じちゃうとちょっとねえって、それ歳とったってことの証拠だけれどさ。こちらでいうと「ナノテクが…」はブラッドベリの「ゼロ・アワー」。「オレンジの値段」は小松左京「やせがまんの系譜」か。やせがまんのほうがわたしにはぐっときました。武士は勝手に自刃し残された女性も警察沙汰など瑣事とでもいうふうに凛としていたっけ。あれ、急に「時間エージェント」の短編思い出したぜ、米ソ中の首脳の幼年時代を誘拐してきて、インド人のお姉ちゃんに子守りをさせ、さてさてそれから60年後に国連で女性事務総長に叱られる米ソ中の首脳みたいなお話だった。おかしいな急にそんなの思い出しちゃって。
えと、でもって「アードマン連結体」だが、こちら全然違うプロットではあるけれど半村良の「妖星伝」をみたね、えぇっと違うか、まあなんというのかそんなふうな変な読書になっちゃうわけだが、それなり読者も楽しんではいるのです。