集英社5月刊 奥田英朗 家日和

家日和 (集英社文庫)

家日和 (集英社文庫)

なんだかこれじゃいけないな。「邪魔」とか「ララピポ」とか、無愛想でいらつく悪意のドラマツルギーが得手の人だったじゃない、奥田英朗って。他愛のないホームドラマだ…ってそりゃタイトルで分からなくてはいけないのだが。それにしても、ララピポで2階に義母の死骸を放置したことを忘れるために家をゴミ屋敷にしてゆくオバさん、あれ、もの凄くよかった。
それはともかくこちら。「陰惨さ無しね、そっちは戸梶圭太に任せたから」と、リストラとかネットにはまる主婦とかキャッチーな話題を無難なソープオペラにまとめただけ。もすこし家庭悲劇としてリアリティをつけたらよかった、ただ自分の願望を絵にしただけじゃんといわれて反論できないでしょ。「妻と玄米御飯」は私小説か、いや違うかな。もひとつ下品な私生活の著者じゃないかと推測しているのだが。