新潮文庫5月刊 和田誠・三谷幸喜 これもまた別の話

これもまた別の話 (新潮文庫)

これもまた別の話 (新潮文庫)

「それはまた別の話」は文春文庫から出ていたんだよね。

http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/30775880/introd_id/Xmo46Wk6o361949Wi815i1XX69GA3X6A/pg_from/u

絶版重版未定だってさ。キネマ旬報の「これもまた…」は単行本でも手に入るみたいなのに文春どうした、文化や教養の貯蔵庫たる矜持が出版社から失せてはいけない。
まあ、いい本ですね、いい本だけれどじつはわたしは二人の監督をほとんど評価してないのだな。和田誠では「マーダー」というのかパロディアニメの出来はいいときいたが未見。商業映画のいくつかではたいそう退屈。「畳み掛ける」とか「呆気にとられる」とかそういうのが苦手な人か。三谷幸喜の場合はやっぱり舞台のほうが面白いと思うな。
とはいえ、すてきな読書体験。欠点も隠さずに(銃の知識がないとか「薔薇の名前」を読み進めなかったりとか)、でも映画の見どころをふたりして腑分けするように穿ちいってゆくあたりに迫力を感じた。
「2ちゃんねらーが選ぶ、3回以上観たけど「もっと観たい」と思う素晴らしい映画」まとめサイトにあるんだけれど、これってみなDVD(だか違法サイト)でみているわけで、それにひきかえ和田誠トリビアはもう映画館での記憶術なのでやっぱり尊敬に値するです。ビデオ以前はもう歯を食いしばって憶えるしかなかったわけで、ああ、そういう心境はもはや死に絶え、そういう意味で和田誠「お楽しみは…」とか子の連作とかは、末期映画トリビア止揚する役どころとして適役だったわけです。