文春文庫 09年1月刊 里見真三 写真・飯窪敏彦 いい街すし紀行

いい街すし紀行 (文春文庫)

いい街すし紀行 (文春文庫)

里見真三の絶筆というか、それにしては週刊誌屋の紋切り型のえずくような文章で寿司にも写真にも負けているあたりがみっともないがそれもこのさいいいか。最後は大学教授の肩書きで死んでいった里見先生、B級グルメというジャンルを私たち庶民に提出し、それを定着させた功績は大きいですね。「ベスト・オブ・ラーメン」刊行時にはわたしもラーメン店員だったので、いろいろ啓発もされたしうんちく話も教わりもした。
すきやばし次郎 旬を握る」もまた書籍としての体裁としてはちょっと瞠目ものでした。高級鮨店を見事にB級グルメ化させて描ききった編集者としての手さばきは見事でした。本書でも“すきやばし次郎”を紹介していて、でも新聞の“全面広告”めいた賛辞しか記せぬあなたは本当に大学の先生になれるほどの人だったの?
とはいえ「すきやばし次郎…」の聞き書き具合は絶妙ですよね、インタビュー作品としてはほぼ完璧じゃないかな。とはいえ里見真三はもういない。メディアの新たな挑戦をワクワクして待っております。
新潟市の「港すし」が紹介されていますが、わたしは行ったことはありません。読んでみると一流のすし店というふうではなく、大衆的だが味は一流みたいに記されているのはうれしい。まあ、この先何かの縁ですし店に寄ることがあればほんのちょっとわたしは幸せになれるでしょうか。

http://www.minato-sushi.com/