文藝春秋の新刊 1998・8 「帰省」 ©大高郁子

物語が立ち上がりそうです。白のワンピースがなまめかしいのか清冽なのか、白い帽子はでもとぼけた愛らしさをかんじます。配色とデッサンの遠近法がわたしをこんなになごませる─んだが、こういう作品なぞでは作者は満足しなかったんだろうなあ。
十年一昔、わたしもそれほど若かった…若くはなかった、その年離婚を経験している。結婚生活でそうとう磨耗しましたね、その前から別居生活だったけれど日々楽しまず読書と飲酒、あと散歩くらいが息抜きだった。新刊案内をみると逢坂剛「燃える地の果てに」だ。いやあ、とても楽しい読書体験だったのだけれど、でも日本人と西洋人の両主人公が入れ替わっちゃうなんていくらなんでも映像化できないよねえ。