角川文庫08年8月刊 吾妻ひでお うつうつひでお日記

うつうつひでお日記 DX (角川文庫 あ 9-2)

うつうつひでお日記 DX (角川文庫 あ 9-2)

「グーグー…」に続いて3ヶ月連続で角川文庫は漫画を購入。とはいえ、作者が底なし沼みたいというのかうつの症状というのか、うつの気配が忍び込もうとする寸前が幾度か描かれていてやっぱり怖いですね。具体的な何かで“落ち込む”ことはよくあるわたしですし、けっこう人間関係などで立ち直れなかったなんてこともあったけど、そういう病的で危険な影みたいなものが精神に入り込むという経験はないし、想像もつかないわたしは健康人か。
病気なのかちょっと行きかけた人がやたらタバコ吸うのも見ているけど、そういう人の病的な吸い方を思い出しもした…吾妻ひでおは本物だったんだね。
病気と関係あるのかないのか、日記中アジマが本を読む速度が異常に早くはないか。何かを失ってそういう能力を手に入れたのかな。図書館で借りると、返却日を意識し急きたてられるみたいに強く感じるのか。強迫観念で速読しちゃったりね。
途中(元旦)に猫山ミャアちゃんが(あまり似てない、挿入されてるイラストもPUFFY以外は可愛さ不足)突如登場するなど、過去のドラマやギャグの芽は感じたけれど、あとがきでは「その後しばらくしてギャグ漫画には限界を感じ『便利屋みみちゃん』の連載は中断してます」と記されていて、そんなものかな、これからもある種の症例として描き続けるしかないのかもしれない。
まえがきあとがきでアジマ当人が記すとおりで、面白い読書体験ではありませんでしたが、70年代の彼のシュールさ奇抜さごった煮感をみてきたものの義務として、もすこしつきあわねばね。