文春文庫 08年2月刊 伊坂幸太郎 死神の精度  ネタバレあります

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)

「吹雪に死神」という短編。ミステリとして(ちょっとバカミス入ってるが)なかなかの出来ではと、変な感心。ほかにも小さなトリックとかあったりするけど、まあ楽しかったのはこの一編ですか。
食事に毒を仕込んだのに、食べた相手が死ななかったので、不審に思いその毒を自分で試して死んでしまう。実は毒を盛られた人物は、それが嫌いな食べものだったので隣の人に頼んで知らぬうちに食べてもらった─その隣人が死神だった。─というからくりなのだが、食ったのが死神でなかったなら死んじゃうわけで、となるとシェチュエイションも変わってくるか。。
でもこの作品、死神のような第三者が復讐の現場に闖入しないと叙述もストーリーも成り立たないミステリだし、となるとけっこうな顔ぶれなのだし長編にしてもいいかなと。
他の短編、まあ、こういう低温さって著者にとっても、省エネ感覚で書けるのではと邪推しちゃった。映画になるそうだけれど、たしかに「吹雪に…」以外はビジュアルで楽しむほうが正解か。
ラストの一編、「恋愛で死神」と繋がっているような、よく分からないままのわたしだけれど、彼女の職業って美容師じゃなかったはずだよね。