文藝春秋の新刊 2002・12 「小さな赤いくつ」 ©大高郁子

子供用の防寒靴なのかな。あまりそういう商品にかんする知識はないのでなんともいえない。フェルト生地、毛皮部分で縫い目が一目一目こまやか丁寧に書き込まれていて、ブーツへのいとおしさ優しい気持ちが感じられる。暖かさってのは記号として、訴求力が強いですよね、清涼感なんかより。
この年の2月から「文藝春秋(生誕より)80周年」のロゴがこの月まで入っています。“本格ミステリー・マスターズ”っていうのは実は80周年記念として編纂されたんですよね…って、実をいえばそんなことなんぞどうでもよくて作品の質が一番なんだが、とはいえこういう出自ってものもある種の枷として、けっこう作品を縛ることもあるので、面白いものです。ミステリー・マスターズってでも、想定がね…。もう数百円かけてハードカバーにするとか箱入りとか、なんでもいいけどエンタティンメントとしてもすこし凝ってほしかったな。