「03年9月の新刊」を見てみると

矢作俊彦「ららら科學の子」だ、山本夏彦訳のレオポール・ショヴォ「年を歴た鰐の話」だ、吉村萬壱ハリガネムシ」だ、イラストの裏には横山秀夫だ…あらら。

http://hw001.gate01.com/namekujiken/natsu/wani.html

山本夏彦研究サイト「年を歴た鰐の棲處」より「鰐の話」解説エントリですが、復刊について触れてない…いや、著作一覧には記してありますね。
山本夏彦の本にはたいがい、著作一覧の始めにこの書籍が記してあって「さあて、どんなものかしら」と不思議に思うことになる。
中公文庫中の一連の山本コラム中、なんだったか書名は忘れたけれど西部邁が解説を書いていて、その中で「年を歴た…」が紹介されていた。病に倒れた西部の友人から「君向けの本かもしれない」と(桜井書房版をという意味だろうな)渡され、著者を知ったと書き、簡単に梗概を記してあった。
「─真っ赤になった鰐が苦い涙を流す」物語なのだなとその解説で知り、まあそれでけっこうということにし、山本のエッセイの奥深いところの「悲しい希望」みたいな意味がようやく分かったような気がした。
解説文中で西部は「翻訳ではない」みたいに記していたし、山本自身の自伝(「私の岩波物語」だったか)でも、桜井書店主が「翻訳だから印税は8%」といったことを“笑った”みたいに記していたから、山本の著作かと勝手に思っていた。
「ショヴォー氏とルノー君のお話集」というサブタイトルで出口裕弘訳(バタイユの人でしょ)の絵本が新聞に紹介されたのはアマゾンで見ると2002年のようだな。そのときはじめて、山本夏彦作じゃなかったって知った…というだけのお話。