早川書房 7月刊 宮木あや子 官能と少女

官能と少女

官能と少女

著者宮木あや子のブログ「宮木ログ」です。

http://amiya.fruitblog.net/

こちら「官能と少女」に関しては6月25日付で記してあります…が、ありゃりゃなんとそこでは“男は読むな!”と記してあるぞ。

…前略…
この表紙と題名で、男の人には決して読まれないようにしてみたのですが
ここまでやっても読んでぶつくさ言う男の人はいるんだろうなとは思います。
何度も言いますが、私の書く小説は全て女性向けです。
男の人に読まれることは一切考慮しておりません。ご注意ください。
(でも担当編集者は男性だった)(わがままいっぱい言ってごめんねよしだ)

ああ、そうですか。こちらは聞いてなかったし今後もわたしのような被害者が出るかもしれないので表紙にでも「男子禁制」とでも記しておいたらいいのでは。
まあもうそういわれたのなら、なんだかひとことでも小説に関して書けない。“─あんたに読んでもらいたくない─”という小説って、まああるんだねえ。結果的に読者を限定する作品は数多あってもいちおう門戸はあけておかないか、普通は─まあいいけど。
男性読者を対象とする官能小説(渡辺淳一とか恋愛小説でない)では、どうなんだろう願望の垣間見とか代償行為として性描写を愛でる娯楽としての読書だろう、でもって宮木あや子の女性向け官能小説だと「春眠」で女教師がかわいそうな岸田くんを苛むみたいな願望編もあるけれど、まあわりと追体験を増幅さす快感の二次利用方面が効いていますね。そういう意味で性差は別として読者を選ぶ作家かな─とはいえ美貌で才知あふれる女ざかりのエグゼクティブが、イケ面で利発な新入社員や下請けの不躾な工員やすり寄ってくる営業マンなんぞとお遊びのセックスしまくるとかワルの男をいじめ殺すとかの“願望刺激”に特化した官能小説って需要はないかな、うーむこの先ではそちら関連の書き手がのびてくるんじゃないだろうかという予感はある。何というか“おやじギャル”の反対の存在である男性に愛読者が増えるんじゃなかろうかな。
「春眠」とその後日譚である「モンタージュ」。前作では被害者を救った(形の)養護教諭が数年後の被害者の首を絞めて警察に捕まる結末で、どうもその落差がわからなかった─そういう違和感ってわたしが男性読者だから?
装画・扉絵は今井キラ。まあトップにあるようなゴシック&ロリータ関連のイラストの人です。公式サイト「眼帯天国」のURLを貼っておきます。

http://kira.main.jp/

ペッタリ平面なのに平板にならぬ画の力を感じる、フラットな不気味さがテキストとの親和性を呼び込み物語を悩ましく補完してくれている。