光文社文庫2月刊 松尾由美 花束に謎のリボン

花束に謎のリボン (光文社文庫)

花束に謎のリボン (光文社文庫)

“連作恋愛ミステリー”というジャンルです─って読み終わってなんといえばいいのか?安楽椅子探偵のパターンかと思うと、第2作「アマリリス」では亭主のほうが謎を持ちこんだ少年に訊問しているし、第4話「フラワー・イン・ザ・サン」でも亭主は居酒屋までのこのこついて行っている。かといっておしどり探偵というジャンルとは違う(謎解きがないし)し、だからミステリーでない部分に興味をもてないから、なんだかどうでもいい読書体験でしかなかった。第3話の「アンダーウォーター」は悪いご都合主義のお手本だし、あと第4話の謎などはなんにしろ解かないと物語は終わらないし、いまでもわたし無断欠勤の理由が知りたい。
ま、無駄な読書だったな“なんだかひとことで説明しにくいような小説─”を書いている(純文学?)嘉信さんという30代前半小説家という設定もうわの空というかありえそうにないというか、あまりにも地に足のつかぬ設定で最後まで進んで、いったいこいつのどこが純文学かよと言う脱力感はおおいにあり。主人公二人の一人称が交互にというフォルムもまあひどくぬるく、互いの(特に小説家の)思考速度ののそのそ緩さについてゆけない(立ち止りたくないっぽさ)に読中イライラさせられました、いやもう勘弁。