購入したのは松波太郎「よもぎ学園高等学校蹴球部」です

よもぎ学園高等学校蹴球部

よもぎ学園高等学校蹴球部

「アフロ・ディズニー」「消えた年収」2冊の現物を書店で見損なった。文藝春秋の新刊とはいえそういう扱いなのかと…いや、書棚のどこを探せばいいのかわからなかっただけなのかな。
文学界に発表されたサッカー小説だそうです。いかにも若書きな監督大学時代の卒論「サッカーの歴史とその背景」みたいな遊びや、倒叙スタイルかと思ったら、実は全体が回想作品だったとかまああちこち純文学してますが、それにしても大東文化大の人(中退だけど)の小説というだけでエキサイト。その躍ったわが心はいちおう読了まで持ちこたえたようでそういうスリリングさは今後とも著者松波は狙うべきだと思います。

萩将子が、7星の背中にゆっくりとちかよる。不規則にゆれている肩へ、つつくようにさわり、そのつついた指からそっと手を着地させた。7星とならんで立つ。
7星の視線に、自分の視線ものせる。そして萩将子は、部員たちの方をいっしょにむいた。
(7は○囲み)

ドラマとして小説としてはすこし物足りなかった(短篇だし)が、でも会話の妙とか物語の重なり具合とかにかすかな面白さの匂いをそこそこかいだ。芥川賞はでも、ちょっと無理線だったでしょうね。